全国各地大雨が降り、蒸し暑く寝苦しい夜が続いております。寝ている間に大量の汗をかくと、脱水症状を起こすこともありますし、熟睡できずにいると体調も崩してしまいます。こんな日は無理せず、エアコンを上手に使って快適に過ごしてください。
しかし、エアコンを稼働させるこの時期、気をつけたいことの一つに肺炎があります。
肺炎というと寒い冬のイメージですが、肺炎にも種類が豊富にあるので、一年の中でいつでも何かしらの原因があります。
特に高齢者では
誤嚥性肺炎
誤嚥は、食べたり飲んだりしたものが食道に入らずに、気道にはいってしまうことで、若い人でもムセた時は誤嚥しています。でも健康な状態であれば、何度か咳き込むことで気管に入ったものを出すことができますが、高齢者では吐き出す力が弱くなっている為、うまく出せず、一緒に入ってきた細菌(肺炎球菌、インフルエンザ、黄色ブドウ球菌、大腸菌など)が肺の中で繁殖してしまいます。
こどもに多い
ウイルス性肺炎
インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなど、流感ウイルスが体内に入ると、体が未熟で抵抗力が弱いため、風邪をこじらせると肺炎を引き起こしやすくなります。
若い人に多い
マイコプラズマ肺炎
真性細菌マイコプラズマによって発症し、風邪の症状と似ており乾いた咳が特徴で、咳によってすぐに人に移るため、学校や職場など人が密集する所で大流行を引き起こします。昔はオリンピックが開催される年に流行したので、「オリンピック熱」と呼ばれていたことがあるそうです。
その他
過敏性肺炎、閉塞性肺炎、薬剤性肺炎、気管支肺炎、などなど多々あります。
今回は、過敏性肺炎に注目したいと思います。
過敏性肺炎にはいろんなタイプがありますが、その3/4を夏型肺炎(夏型過敏性肺炎)で占めています。
夏型肺炎の原因 トリコスポロン
・室内にいるカビの一種
・温度20℃以上、湿度60%以上になると活動をはじめる
・高温多湿になるほど繁殖
・たくさんの胞子を飛ばす
・6月~9月の間が要注意
・台所、風呂場、脱衣所、エアコン内部に多く存在
このカビの胞子を吸い込むことで、咳などの症状が繰り返し起こります。
咳き込みが激しくて眠れなかった患者さんでも、明くる日病院に来て「風邪をひいたみたいです」と受診するころには症状が穏やかになっていることがあります。
そして薬をもらって帰宅すると、また咳が出る。
そして数日後、薬があまり効かないみたいと言ってまた受診。
症状は風邪とよく似ていますが、居る場所によって症状の出方が変わることがあれば、夏型肺炎の可能性を考えます。
夏が過ぎれば、カビの終息とともに症状も治まりますが、自宅にこのカビが繁殖している限り、次の夏も症状を繰り返して慢性化していきます。数年繰り返すうち、肺の機能が徐々に弱り、息切れを起こしやすくなったり、たえず咳が出ることが多くなります。
カビ退治
・原因となるカビをできるだけ排除することが、予防につながります。
・除湿機をかける
・風呂場や台所の水気は、すぐにふき取っておく
・窓のサッシやカーテンレールなど、湿気が溜まる場所のホコリや汚れも掃除する
・エアコンを週に一度掃除する
エアコン
すでにカビが発生している場合は、専門業者に掃除してもらった方が無難です。
エアコンは、室内の空気を循環させているので、窓を定期的に開けて風通しし、カビの胞子を外に出すようにします。
買い換える際は、換気機能やお掃除機能がついたものが良いでしょう。
高齢者の方、特に独居の方ですと、身体機能の低下により掃除の目や手が行き届かなくなっていたり、換気も疎かになりがちです。
部屋の空気中に溜まったカビの胞子がエアコンにより噴き出され家全体にまき散らされることになり、家のどこに居ても肺がカビの胞子にさらされることになります。
夏も本番になってくれば、脱水や食欲不振、睡眠不足等体調を崩しやすいことが多々出てきます。夏型肺炎は、高齢者だけでなく子供から大人までエアコンを利用する人にはかかる可能性があるものですので、今一度ご自宅の各部屋の隅々のお掃除や換気を見直してみられてはいかがでしょうか?
担当:奥村外科胃腸科
この記事へのコメントはありません。